長野県の建築設計事務所 スタジオアウラ一級建築士事務所
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残す意味
建替えた方が早い何度もそんな声を聞き、私たちも確かにそう考えました。築90年の家は、古い木材を転用され幾度も改築を繰り返された跡があり2階は木の建具で畳も古く使われていない状態が長く構造的にもかなりの補強が必要でした。
そこに暮らし始めた20代の夫婦残すのか新築かでも何となく残したいけれど・・こうした相談から始まった物語は安曇野のこの地区の多くの子供が育まれた場所という歴史や女性でありながら戦前から手に職業を持ち歩いてきた先人の思いの伝わる手記の発見や手紙など今の時代にあってももっと強く生きていこうと力をもらえた仕事になりました。
古い納屋や外トイレ下屋などの減築と新しい構造をつくり基礎と柱を古い躯体と繫ぎ二重構造にし下屋に守られた通し間が記憶をつなぎます。
土地の使い方や庭との関係周囲の風景が変わっても新しい場所は出来ても残り続ける場所があるということの意味を深く強く感じています。
お施主さん、そして工務店さんには粘り強く関わっていただけたことに感謝の言葉しかありません。そして見たことはないけれど、力を与えてくれたかつての建て主さんにありがとうと言いたい気持ちです。