八王子神社授与所
2019年12月 大町市
施主である宮司は計画地である八王子神社をはじめ大北地方の14社の宮司として祭りごとと神社を地区の人々と共にお守りしている。15社の御朱印やお守りの授与所として地域の新しい拠りどころとしての計画である。
私達が改修を行った建物は古民家の母屋に付随するとりわけ簡素な昭和30年代に建てられた土蔵である。粗削りな構造の持つ力強さを生かし外部に開く開口補強として桧柱を重ね意匠とする。また風雪に耐えながら続いている地域のこころを繋ぐような「迎え入れる壁」をファサードとして考えた。
コンクリート打放しの壁とした理由として、耐震性・耐久性・積雪を考慮したと同時に、ひとの「願い」「悩み」「喜び」「哀しみ」「祈り」の何もかもを受け止める「強さ」の必要性を感じたからである。また八王子神社の本殿を仰ぎ、14対の桧柱は14社を象徴する意図とし鳥居をくぐる意味に寄せた。
授与所では14社に訪れた証があれば御朱印を頂くことが出来る。近くを訪ね歩き、辿り着くことは地域交流のきっかけとなるという宮司の地域おこしへの願いも込められている。庭を取り込む開口に手水鉢を据えることでシンプルな空間が祈りの場として認識されていくことを願う。
庭:三楽
手水鉢:アトリエM4
PHOTO:山内紀人
Detail
用途 | 神社授与所 |
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概要 | 土蔵改修 |
所在地 | 大町市 |
完成 | 2019年12月 |
設計 | 吉田 満+保科 京子 |
施工 | 山共建設株式会社 |